川で生まれ、海で育ち、再び生まれた川へ ━ 母川回帰 ━
鮭は川で生まれ、海まで行って大きく育ち、そして産卵のために自分の生まれた川に戻ってきます。これを「母川回帰(ぼせんかいき)」といい、98%のサケが自分の故郷を間違えずに戻ってきます。どうして遠い海から自分の生まれた川に戻れるのか、その仕組みは、まだ多くが謎です。太陽コンパスや偏光を利用して移動するという説などがありますが、おそらく子どもの頃の川の匂いを覚えていて、それを思い出すからだ、という説が有力視されています。しかし、まだ決定的な定説はありません。
また、鮭は川から海へ生活場所を変えることから、淡水から海水に対応するために、生まれてから死ぬまで体がとても大きく変化します。海で生活している時期は、どの種類を見ても銀色に輝くスマートな姿をしていて、区別ができないほど似ています。ところが、卵を産むためにふたたび川を遡り始める時期には、皮膚の色や模様、体の形から上あごの形まで大きく変化させます。
鮭は分類すると、淡水魚にあたります。生まれた場所が淡水であれば淡水魚、海水であれば海水魚となるので、ほとんどを海で過ごす魚なのに、サケは淡水魚なのです。
2023年9月11日
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